【初心者さまガイド】釣った魚の締め方・保存方法~脳締めから血抜き・神経締め・保冷まで解説~
なんか最近うまく魚の処理ができていないのか、食べた瞬間にちょっと生臭い?ってなるんです….もっかい学び直したいから魚の正しい処理方法教えてかいえんまる。
ほう…それはもしかすると..あれのせいかもな….よっしゃほな今日は初心者にもわかりやすく魚を家に持ち帰るまでの締め方の流れを解説していくで!
※魚の血・解体が苦手な人は今日の記事は閲覧注意や!
魚の新鮮さを保存する重要性
魚の鮮度が高いほど、その味わいは飛躍的に上がります。新鮮な魚は身がしっかりとして歯ごたえがあり、特有の甘味とうまみを感じることができます。しかし、鮮度が落ちると、身は水っぽくぶよぶよ、風味も減少、独特の魚臭さと血生臭さが出てきます。特に刺身や寿司など、生で魚を食べる場合には鮮度の保存方法が味に直結します。
また、食品衛生の観点からも正しい保存方法は非常に重要です。鮮度が低下すると(特に高温下で)魚は腐敗が進み、細菌が繁殖しやすく、食中毒のリスクも高まります。釣った魚を美味い状態で家に持ち帰るためには、鮮度の高い状態が長く続くようにする方法がいくつかあります。
- 脳締め
- 血抜き
- 神経締め
- 保冷
この4つの順で実施することが魚を新鮮に保つために非常に重要です。
特に大きな魚(30cm以上を目安とする)が釣れた場合に、①脳締めおよび②血抜きについては、血液が身にまわり、血生臭くなるのを防ぐため、釣り場で実施することを強く推奨します。また、釣ってからおよそ12時間以上おいて調理する場合などは、神経締めをすることで味の劣化を大幅に防ぐことが可能です。
30cm(目安)以上の魚と赤身の魚は血の量が多くて、処理せず放置すると家に帰るまでに身に血が移りやすいんや。身に血が移ると血生臭さが・・・
逆にアジ、サバ、イワシ、ママカリ、サヨリなどの血の少ない魚は、血抜きせず氷締めが良いです。氷締めなど魚別の締め方は別記事で解説します!また、道具は最後にご紹介!
①脳締めの方法
脳締めって何?目的は?
脳締めとは、魚の脳を破壊して、絶命させる方法を指します。多くの場合は、ナイフやピックを使って魚の脳に突き立てます。脳締めをすることで、魚が暴れることによる内出血や身の中のうまみ成分の基が消費されることを防ぎます。
かわいそうやけど、無駄に苦しめないためにもブスッとやろう。
実際の手順!
①釣った魚を暴れても大丈夫な場所に移し、エラの上にタオルを掛ける(掴みやすくするため)暴れるようなら、目にタオルを掛けると大人しくなる。
②脳の位置を目掛けてサバイバルナイフを突き立てる。(この時暴れるのでタオルの上から抑えながら)
脳の位置は側線とエラ蓋の延長線上が交わるあたりにあります。動画内の説明にもありますが、脳の少し上に柔らかいところがあるのでそこから刃、ピックを入れます。
その後頭上部側に倒すように(脳の位置を切るように)すると脳にうまく当たり締めることができます。
③目の瞳孔が開いて魚がプルプル痙攣をすれば完了。
④脳締めの後はすぐに血抜きを行う。(心臓はまだ動いているので、止まる前に必ず実施しよう!)
②血抜きの方法
血抜きって何?目的は?
魚の血管を切り、海水中で魚の血液を抜き取る手法です。新鮮かつクリアな魚の味を保つことができます。魚にも大量の血が体を駆け巡っています。魚の体が大きくなるほどその血液量は増えます。死後、その血液は毛細血管を通し、身に溜まり始めます。この現象が起きると身が血生臭く、生で食べることが億劫になるレベルです。この状態を避けるため、海水(可能であれば氷を入れた冷海水)の中で血抜きを行います。この作業だけは絶対にやるようにしましょう。
せんちょ、生まれて初めて釣った鰤の血抜き処理を喜びすぎて忘れてたって聞いたで(笑)??
あれは、ほんとに悲惨だった…台所は血の海になるわ、身から血の匂いは抜けないわ鍋にしたら汁から血の味がするわ….全部きっちり食べましたけどね。血抜きだけは何が何でも死んでも(自分が)絶対やりましょう!
血抜き実際の手順
脳締め直後に実施しましょう。魚の心臓が止まるまでが勝負です。(血抜きは大きさにもよりますがだいたい5分程度、血が出なくなるまでやりましょう。)
①左右どちらかのエラを開き、エラ膜(一番下の白い部分)から2番目と3番目のエラを口側の付け根からハサミ、ナイフで切り取る。
エラ膜の下にナイフを入れて背骨に沿わし背骨下の動脈を切る方法も多々紹介されていますが、背大動脈と後主静脈が一緒に切れてしまい、身の血が抜けない状態となることが多いです。このため海燕丸では動画と同じ手法、エラを切って身の血を抜く方法を推奨しています。
一見、動脈切断の方がたくさん血が出てよく抜けているように見えます。しかし、これは心臓周辺の血液が出ているだけで動力である心臓から動脈および静脈両方を、切り離してしまうことになります。
こうなると、身の血管が動力から切り離されてしまうため、身の血は抜けにくい状態となると考えています。
このため、エラの中でも太い血管がある、下から2,3枚目のエラを切り、心臓の動力で身側の毛細血管の中まで押し出し血抜きをするのが良いでしょう。
②氷で冷やした冷海水に入れて流血させる。(最短10分ほど)流血時に軽く魚を振ると血が固まらず、血がよく出てGOOD。
血抜き中は、魚の温度が10度以上上昇するとされ、この高温が、身の鮮度を落とし生臭さの一因となります。
凍らせたペットボトルや袋に入れた氷をクーラーボックスに入れ、海水を注ぎ、その中で血抜きをしましょう。真水を入れないのがポイント。
③エラから十分血が抜けたらエラ膜下からナイフを入れて背骨に沿わして切って内臓側の血を抜く。(やらなくてもOK)
頭部・内臓に残った血を出すことで、体のほとんどの血を抜くことができます。(やらなくてもだいたい血は抜けているので問題ありません。)頭部も煮つけにする場合にはやっておくと無難でしょう。
④神経締めしない場合は、そのまま冷海水に直前まで漬けておく。
抜けた血によって冷海水が赤くなりますが、身に還っていくことはないので、特に問題ありません。
必要に応じて神経締めに進みましょう。氷入りの冷海水が準備できている場合は、神経締めまで実施しなくてもOK!
せんちょの言ってた微妙な生臭さが残るのはここの冷海水で冷やしながら血抜きするところが甘かったとみられるで!
なるほどな…真水を使って長時間血抜きすると、浸透圧のせいで身に水が入ってぶよぶよになりやすいです。(ちなみに短時間付きっ切りであれば、血は抜けやすいそうです。)
③神経締めの方法
神経締めって何?目的は?
神経締めとは、魚の脊髄を破壊し魚の新鮮な状態を長時間維持する方法を指します。神経締めをすることで、死後硬直を遅らせることができます。死後硬直が発生すると身の味、食感がガクッと落ちるため、運動量の多い魚(ブリ系・鯛系・スズキ系等)は積極的に神経締めを実施することが多いです。
死後硬直を遅らせる=うまみ成分を身の中に留める
ということであり、神経締めをすることで、美味しい状態を保つことができます。
魚肉の中に蓄えられているアデノシン三リン酸(ATP)は、時間経過でうまみ成分(イノシン酸)に分解される物質です。この物質は、魚が動くためのエネルギーとして使用されています。
このATPは魚がストレスを感じたり暴れたりなどするとエネルギーとして消費され、身の中から失われていきます。生きている間は、魚肉中のATPは呼吸によって回復しますが、絶命したあとは体内のATPは減少するのみとなります。そして死んだ状態においても脊髄を残したままの状態で保存すると、ATPが自動的に消費されていくことが知られています。
また、身のATPが枯渇すると、死後硬直が始まります。ATPは分解される途中でうまみ成分であるイノシン酸(IMP)に数時間で分解されるため、このATPをできるだけ身の中に留めてやると持ち帰った時に非常に美味しい魚が食べられるという理屈です。
まぁザクっというと、うまみ成分の元になるATP消費を神経締めで抑えたいわけやな!
ちなみに海燕丸では割と家で早めに調理をするため、よほどの大型を除いて神経締めまでは実施することはすくないですね!船頭さんはサービスでやってくれるところが多いです!
神経締め用の専用用具が必要なのと手順が慣れるまでは難しいから、長時間調理の予定がない(12時間程度)場合に道具を使ってやるのがええで!うちらはそうしてる!
実際の手順(専用道具が必要です)
今回は、より簡単な尾の方からワイヤーを入れる神経締めの手順です。動画では、スズキででもされていますが、基本的な構造はどの魚も同じなため、同様の方法で神経締めが可能です。
①ナイフを使用してしっぽを切断、もしくは、しっぽの断面を露出させる。
②背骨の上にある神経ロに神経締め専用のワイヤーを通していく。
③一番奥まで入ったら、2,3回前後にワイヤーをずらし脊髄を破壊する。
④反射で魚がプルプル痙攣すれば作業完了。(反応は出ないこともある。)
④保冷方法/家までの持ち帰り方法手順
①血抜きで使用したクーラーの海水を抜きます。(血がついているので軽く洗う)
②ナイロン袋に魚を入れ、周囲に氷を置いて(少なければクーラーに氷を足して)家まで保冷が続く状態で完了!
家での保管方法
家での調理後の保管方法については、こちらの記事も参考にしてください。
使用道具たち(文字リンクはAmazon)
脳締め
・フィッシュピック
100均で売ってるアイスピックで全然OK!
ピックと神経締めワイヤが一緒になってるやつ一個持っとくと何が来ても万全やな。
・サバイバルナイフ(フィッシュナイフ)
血抜き
・クーラーボックス
ダイワ プロバイザー系列の28Lは蓋が左右どちらからも取れる、蓋取れるのでくそ洗いやすい、保冷最強、そして座れる!全部そろった最強のクーラーボックスや。もう6年くらい愛用してる。
・海水を汲み取るバケツ(水汲めたらなんでもOK)
・サバイバルナイフ 脳締め兼用でOK
神経締め
・神経締め専用 ワイヤーニードル
・神経締め専用ワイヤー(尾側から入れる場合はこっち)
保冷
・ナイロン袋
・多めの氷
・クーラーボックス
終いに!
さてせんちょ、釣ってからのでかい魚の処理、何がまずかったのかわかったか?
血抜き中に体温上がり続けるってのは初めて知りました。だから鰤食べた時、ん?ちょっと臭うわ?ってなる瞬間が時々あったんですね。今度からしっかり冷やしながら血ぬきます。
締め方は魚によっても微妙に違うからな!次回の記事では、魚別の締め方も解説しよう!