【調理】釣ったタコの下処理・捌き方編
はじめに!
初夏の海が少しずつ色を濃くし始めるころ、船タコ釣りの季節がやってきます。
朝のまだ涼しい時間に港を出て、潮を見ながら仕掛けを落とす。海底を探っていると竿先にずしりとした重みが乗る。あの瞬間は、船タコの大きな楽しみの一つです。
ただ忘れてはいけない。家に帰ってこの美味いタコを最高の一皿にするところまで。最高の一皿を作るため、今日も我々は最高の肴づくりに勤しみます。
この記事では、釣ったタコを家でおいしく食べるために、持ち帰り後の捌き方・下処理・ぬめり取りの流れを、初心者向けに整理します。
「釣ったタコをどう処理すればいいか分からない」
「ぬめり取りのやり方を知りたい」
「料理する前にどこまで下処理すればいいか不安」
そんな方に向けた、釣ったタコの下処理ガイドです。

最高の一杯を飲むための序章や。眠いのはわかる。もうひと踏ん張りして最高のごちそうタイムを迎えてくれやで。
持ち帰るまでの処理方法
タコを締める

タコを持ち帰る時は、クーラーへ入れる前に締めておくと扱いやすくなります。
タコは釣った後もしばらく動きます。そのまま袋やクーラーへ入れると、暴れたり、墨を吐いたり、家での下処理がしにくくなったりします。
タコを締める時は、目と目の間付近にハサミやナイフの先を入れて締めます。(画像ではピックを使用)このあたりには神経の集中する部分があり、うまく締まると体が白っぽく変わります。
ただし、タコは足にも神経が発達しているため、締めた後もしばらく足が動くことがあります。慌てず、落ち着いて処理しましょう。
船タコ釣りでは、船にスカリや生け簀が用意されていることもあります。その場合は、すぐに締めず、帰港前まで生かしておくと処理しやすいです。帰港中や持ち帰る直前に締め、できれば内臓を取ってからクーラーに入れると、家に帰ってからの下処理が楽になります。(サービスで内臓・口を抜いて渡してくれる乗合船さんもあります。)
夏場などでタコが弱ってきた場合は、無理に生かし続けず、早めに締めて冷やすようにしましょう。
タコを氷で冷やしてクーラーに入れて持ち帰る

タコはビニール袋やジップ袋に入れてから、氷や保冷剤で冷やして持ち帰ります。
裸のまま氷に直接置いたり、溶けた氷水に長時間浸けっぱなしにしたりすると、タコが水っぽくなったり、クーラー内が汚れるため、あまりお勧めしません。
袋に入れた状態で氷袋や保冷剤の上に置く程度であれば問題ありません。
大事なのは、常温で放置せず、しっかり冷やして持ち帰ることです。
釣ったタコの捌き方

さて今日の本題。釣ったタコの捌き方や!
必要な道具を揃える
タコ捌きに必要な道具を揃えておきましょう。手がぬるぬるになるため、作業前に道具をそろえておくのがおすすめです。
- 包丁
- キッチンバサミ(なくてもできる)
- まな板
- ボウル
- 塩
- 使い捨て手袋(なくてもできる)
- キッチンペーパー
タコはぬめりが強く、墨や汚れも出やすいため、作業前にシンク周りを片付けておくと処理しやすくなります。包丁だけでも処理できますが、目や口を取る時はキッチンバサミがあるとかなり楽です。
コツは、最初に道具を全部出してから作業を始めることです。途中で手がぬめった状態になると、引き出しを開けたり、道具を探したりするのがかなり面倒になります。
捌きの手順
①頭を裏返して内臓を取り出す

まずは、タコの頭の中にある内臓を取り出します。
ここでいう「頭」は、丸くふくらんでいる部分のことです。正確には胴体ですが、料理の下処理では「頭」と呼ばれることが多い部分です。
1. タコを用意する
タコを軽く水で流し、まな板の上に置きます。
ぬめりで滑りやすいため、無理に力を入れず、作業しやすい向きに整えます。
2. 頭と足側をつなぐ腱を切る
頭の付け根を見ると、頭と足側をつないでいる白っぽい筋のような部分があります。
この筋を手で外します。外しにくい場合は、包丁やキッチンバサミで切ってもOKです。
3. 頭を裏返す
頭を外側から内側へ返すように、ゆっくり裏返します。
無理に引っ張ると墨袋が破れて汚れやすいため、少しずつ返します。
4. 内臓を剥がす
頭を裏返すと、内臓がまとまって見えてきます。
付け根にくっついている部分を、手で剥がすように外します。数か所つながっている部分があるので、外しにくいところは無理に引っ張らず、包丁やキッチンバサミで切ってもOKです。
5. 墨袋だけ切り取る
内臓の中に黒っぽい墨袋があります。
この墨袋の付け根だけは、手で取り外しにくいため、包丁もしくはキッチンバサミで取り除きます。
墨袋を破るとシンクやまな板が汚れやすいため、墨袋を傷つけないように、墨袋の付け根を切りましょう。
6. 残った内臓を取り除く
墨袋を外したら、残った内臓を取り除きます。
取り残しがある場合は、指で確認しながら外します。
内臓を取り除いたら、頭の中を流水で軽く洗います。
墨や汚れが残っている場合は、指でこすりながら落とします。
②口を取り除く

次に、タコの口を取り除きます。
タコの口は、足の付け根の中心にあります。
硬いくちばしのような部分で、残っていると食べたときに邪魔になるため、下処理の段階で外しておきます。
1. 口を押し出す
タコの足を広げ、中心部分を確認します。
真ん中に黒っぽい丸い部分が見えます。これがタコの口です。
指で裏から口を押すと、口が少し出てきます。
2. 根元に切れ目を入れる
口の根元に、包丁またはキッチンバサミで軽く切れ目を入れます。
深く切りすぎる必要はありません。
指を切らないように、刃先の向きに注意して作業します。
3. 切れ目に指を入れる
切れ目を入れた部分に指を入れ、口の周りを少し広げます。
無理に引っ張るより、周りをゆるめてから外す方が取りやすいです。
4. 口を引き抜く
下から押し上げるようにして、口を引き抜きます。
硬い部分が残っていないか、足の付け根の中心を確認します。
取り除いたあとは、周囲を流水で軽く洗います。
③塩もみでぬめりを取る

内臓・口を取ったら、塩もみでタコのぬめりを落とします。
タコは表面だけでなく、足の間や吸盤にもぬめりや汚れが残りやすいです。
塩でもんでから流水で洗い、触ったときにキュッとした感触になるまで整えます。
1. 塩を振る
ボウルにタコを入れ、全体に塩を振ります。
小さめのタコなら、まず小さじ2〜3杯くらいから始め、ぬめりの残り具合を見ながら追加します。
塩を入れすぎると、洗いが甘いときに塩辛く感じることがあるため、あとでしっかり洗い流す前提で使います。
2. 揉み洗いする
足の付け根、足の間、吸盤を意識して、しっかり揉みます。
揉んでいると、泡のようなぬめりや汚れが出てきます。
表面だけをなでるのではなく、吸盤のまわりまで指でこするように洗うのがポイントです。
3. 流水で流す
ある程度ぬめりが出たら、流水で塩と汚れを洗い流します。
この時、頭の内側もしっかり洗いましょう。
表面がキュッとした感触になれば、ぬめり取りは完了です。
筆者の場合は、塩もみと水洗いを4回ほど繰り返すと、だいたいのぬめりが落ちました。
4. 口元・吸盤も洗う
最後の塩もみが終わったら、さらに流水で2〜3分しっかり洗います。足の間、吸盤、頭の内側、口元には塩が残りやすいので、指でこすりながら流します。
洗いが甘いと、料理したときに塩辛く感じることがあります。最後は塩を落とすつもりで、足の間や吸盤までしっかり流水で洗います。
④茹でる場合は足先からゆっくり入れる
茹でタコにする場合は、下処理が終わったタコを鍋で茹でます。
お湯を沸かしたら、まず足先だけを数回つけたり出したりします。こうすると足がくるんと丸まり、見た目がきれいに仕上がりやすいです。
足先が丸まってきたら、タコ全体を鍋に入れます。
茹で時間は、まず1分で止めて確認するのがおすすめです。タコは茹ですぎると硬くなりやすいため、一気に長く茹でるより、短めに茹でて様子を見る方が失敗しにくいです。
1分茹でたら一度取り出し、足の太い部分を切って火の入りを確認します。足りなければ、30秒ずつ追加で茹でましょう。
火が通ったら取り出し、粗熱を取ってから料理に使います。半生寄りで食べる場合は、鮮度管理と衛生管理に注意し、不安がある場合はしっかり火を通してください。
⑤料理に合わせて切る

ぬめりを落として水で洗ったら、料理に使いやすい大きさに切り分けます。
タコ飯、唐揚げ、煮つけなど、料理によって使いやすい大きさが変わるため、この段階で大まかに分けておくと後の調理が楽になります。
1. 頭・目のまわり・足側に切り分ける
まず、タコをまな板に置き、頭・目のまわり・足側に切り分けます。
画像の黄色い線のあたりを目安に、丸い頭の部分、目のある部分、足側の部分に分けます。
目のまわりは塩辛さやえぐみが出やすいため、ここでは使わずに取り除きます。
無理に食べる部分として残さず、処理してしまう方が料理に使いやすくなります。
2. 足は4本ずつに切り分ける
足側は、まず4本ずつくらいに分けます。
いきなり1本ずつ細かく切るより、4本ずつに分けてから料理に合わせて切る方が扱いやすいです。大きいタコの場合は、この時点で足を1本ずつに分けても構いません。
3. 好みの大きさに切り分ける
4本ずつに分けたら、料理に合わせて好みの大きさに切ります。
タコ飯に使うなら小さめ、唐揚げにするなら少し大きめ、煮つけにするなら食べやすいぶつ切りにします。加熱すると少し縮むため、唐揚げや煮つけ用は気持ち大きめに切ると使いやすいです。
4. 頭は皮をむいておく
頭の部分は、表面の皮をむいておくと口当たりがよくなります。
皮が残ったままだと、ぐにょっとした食感が出やすく、口当たりが悪いです。
画像の黄色い点線のあたりを目安に、表面の皮だけを薄く切ると、そこから手で皮をむきやすくなります。
深く切りすぎると身まで削ってしまうため、最初は浅く切れ目を入れる程度で十分です。
切れ目を入れたら、指で皮をつまんでゆっくり剥がします。
後日調理に使う場合の保存方法
後日使う場合は、内臓のみを取り除いたタコを軽く水洗いし汚れを取り、キッチンペーパーで水分を拭き取ってから冷凍します。
この時、ぬめりは落とさずに残しておくのがおすすめです。ぬめりが表面を覆うことで、冷凍中の乾燥を防ぎやすく、状態よく保存しやすくなります。
保存する時は、タコをラップでできるだけ空気が入らないように包み、さらにジップ付き保存袋に入れて冷凍します。
家庭用冷凍庫で保存する場合は、品質面を考えると2〜3か月以内を目安に使い切るのがおすすめです。家庭の冷凍庫は開け閉めによる温度変化が起きやすいため、長期間入れっぱなしにせず、早めに唐揚げや煮つけなどに使うと安心です。
使用する際は、冷蔵庫でゆっくり解凍します。
完全に常温まで戻す前に、少し芯が冷たい状態で塩もみすると、タコがやわらかくなりすぎず、ぬめり取りの作業がしやすくなります。
その後、「③塩もみでぬめりを取る」から再開し、料理に合わせて下処理してください。

タコのぬめりって邪魔者かと思ってたが、保存時は利用できるで!
タコ下処理NG例|せんちょの反省部屋
ここからは、実際にタコを下処理して失敗した話です。
タコの下処理は、手順だけ見るとそこまで難しくありません。
ただ、墨袋、ぬめり、吸盤の砂、塩の残り、茹で時間あたりで、地味に失敗しやすいです。
筆者も何度かやらかして、今の手順に落ち着きました。
墨袋を手で引き抜こうとして、シンク墨だらけ事件
墨袋と胴体を分離する際に手でそのまま引き抜こうとして、見事に失敗しました。
結果、シンクとまな板が墨だらけ。
食べられなくなるわけではありませんが、後片付けがかなり面倒になります。
特に、墨袋の下側は胴体側とつながっていて、手だけで外そうとすると非常に引きちぎりにくいです。無理に引っ張ると、そこで墨袋を破りやすくなります。
今は、内臓を大まかに外したあと、墨袋と胴体がつながっている部分だけを包丁かキッチンバサミで切り離すようにしています。
力任せに引き抜くより、切るところだけ切った方が安全です。
墨袋は「引っ張って取る」より、「破らないように切り離す」くらいの感覚で処理した方が楽でした。
解凍しすぎて、ぬめり復活事件
冷凍したタコは、少し凍った状態の方がぬめりが取りやすくなります。
一度、完全に解凍して、常温に近い状態まで戻してから塩もみしたことがあります。
すると、タコ全体がやわらかくなって手の中で滑りやすくなり、ぬめりも強く感じました。
結局、生のタコをそのまま塩もみするのと同じくらい時間がかかりました。
筆者の体感では、冷蔵庫で解凍し、まだ少し芯が冷たいくらいの状態で塩もみした方が作業しやすかったです。
表面が少し締まっているため、タコをつかみやすく、塩もみの時に力を入れやすく感じました。
ただし、常温放置で解凍するのはおすすめしません。
冷蔵庫でゆっくり解凍し、全体が完全にやわらかくなる前に下処理する方が、ぬめり取りの作業は楽でした。
冷凍タコを使う場合は、完全に解凍してから塩もみするより、少し冷たさが残っているうちに作業する方がよさそうです。
吸盤の中に砂が残って、刺身でジャリ事件
表面のぬめりは落としたつもりでも、吸盤の中に砂や汚れが残っていたことがあります。
そのまま刺身で食べたときに、口の中でジャリっとしました。
これはなかなか悲しいです。
しかも、少し生臭さも残っていました。
表面だけきれいに見えても、吸盤や足の付け根に汚れが残っていると、食べたときに気になります。
それ以降は、塩もみのときに吸盤の中、足先、足の付け根、口元をざっくり確認しながら洗うようにしています。
全部を完璧に見るのは大変ですが、吸盤の大きい部分や、砂が入りやすそうなところだけでも確認しておくと安心です。
特に生や半生で食べる場合は、吸盤まわりの確認はかなり大事です。
不安がある場合は、刺身ではなく加熱調理に回した方が安心です。
ぬめりは取れたが、塩は抜けていない事件
タコのぬめり取りで、塩もみ後の洗いが甘く、料理が塩辛くなったことがあります。
タコのぬめりは、水だけではなかなか落ちません。
筆者の場合、塩もみと水洗いを4回ほど繰り返して、ようやく表面がキュッとした感触になりました。
ただ、ここで油断すると失敗します。
塩もみを繰り返すと、足の間、吸盤、頭の内側に塩とぬめりが残りやすくなります。
表面だけサッと流しただけでは、料理したときに塩辛く感じることがありました。
塩辛さを防ぐために、最後の塩もみが終わったら、流水で2〜3分しっかり洗います。
足の間、吸盤、頭の内側に塩が残りやすいので、指でこすりながら流します。
特に吸盤まわりは、ぬめり・汚れ・塩が残りやすい場所です。
ここを雑にすると、塩辛さだけでなく、生臭さやじゃりっとした食感にもつながります。
塩もみは必要。
でも、最後の水洗いまで含めて下処理です。
ぬめりが取れたところで満足せず、塩を残さないところまで仕上げるようにしています。
茹ですぎタコ事件
下処理のつもりで、タコを2分ほど茹でたことがあります。
結果は、思ったよりだいぶ固め。
味も少し抜けたように感じて、刺身や半生で食べるには残念な仕上がりでした。
失敗した原因は、軽い湯通しと茹でダコを同じ感覚で考えていたことです。
刺身や半生寄りで食べるなら、長く茹でる必要はありません。
筆者の場合、沸騰した湯に40秒ほど入れ、取り出して火の入り方を見るくらいで十分でした。
長くても、まずは1分以内で止めて確認します。
足りなければ少しだけ追加で火を入れる方が、茹ですぎを防ぎやすいです。
一方で、タコ飯や唐揚げに使う場合は、先に茹でない選択肢もあります。
食べる段階でしっかり加熱する料理なら、生のタコから調理した方が、タコの旨味を料理に出しやすい場合があります。
軽く湯通しするのか。
しっかり茹でダコにするのか。
生から加熱料理に使うのか。
ここを分けて考えるだけで、茹ですぎの失敗はかなり減ります。
生や半生で食べる場合は、鮮度管理と衛生管理に注意します。
少しでも不安がある場合は、刺身ではなく加熱調理に回してください。
まとめ
釣ったタコをおいしく食べるには、持ち帰り方と下処理が大切です。
タコはクーラーへ入れる前に締め、ビニール袋やジップ袋に入れて氷や保冷剤でしっかり冷やして持ち帰ります。裸のまま氷水に長時間浸けっぱなしにせず、常温で放置しないことがポイントです。
すぐに調理する場合は、内臓・口を取り除き、塩もみでぬめりを落としてから使います。特に吸盤や足の間には汚れが残りやすいため、丁寧に洗うと料理した時の食感がよくなります。
一方で、後日調理に使う場合は、内臓だけを取り除き、ぬめりは落とさずに冷凍するのがおすすめです。軽く水洗いして水分を拭き取り、ラップと保存袋で空気を抜いて冷凍しておくと、唐揚げや煮つけにも使いやすくなります。
釣ったタコは、下処理さえ覚えれば料理の幅が一気に広がります。
最高の一杯のために、最後のひと手間まで丁寧に仕上げていきましょう!
終いに!

冷凍をすれば、ぬめり取りは楽になり、身も柔らかく食べやすくなるなどメリットがあります。しかし、釣った初日しか味わえないあの食感と旨味をダイレクトに楽しむためにはここで踏ん張らねばなりません。
さぁ、最高の一皿まであと一歩です。次のタコ調理記事でお会いしましょう。さらば!
